失礼とは、礼儀に欠けたふるまいをすることをいい、「失礼しました」「失礼します」「失礼ですが」のように、他人や目上の人に対して礼儀を欠くという意味の挨拶や謝罪の言葉として用いられている。「失」はなくすこと、なくなることを意味するが、この漢字の成り立ちが、手を挙げて恍惚状態で踊る姿を表していたように、もとは「自失」つまり、我を忘れる状態を意味し、現在でも「失念」「過失」「失笑」のように、「意識的にではなく思わず」という意味あいで用いられている。したがって「失礼」は、「意識してではなく、うっかりして」あるいは「悪気はなくて」というニュアンスを効かせた言葉であり、残業している上司を尻目に定刻に退社するとき「お先に失礼します」と挨拶するのは、「いつまでもたらたら仕事してるんじゃないよ、バカ」と心で思っているのではなく、「やむを得ず先に退社する失礼をお許しください」という意味をこめているのである。「いつまでもたらたら仕事してるんじゃないよ、バカ」というような態度で、堂々と退社するようなヤツは「無礼」「非礼」などと言われる。(CAS)