小気味がいい(小気味よい)とは、「あの料理人の庖丁さばきは小気味がいいね」などと使うように、ある人の仕事の進め方や手際のよさにより、愉快な気持ちにさせられるという意味。「気味」は、もとは文字どおり「香気」つまり「香り」と「味」を意味し、いまでいう「風味」のような使い方をされていたが、それがものごとの感じ方、味わいの意味に転じ、さらに「気持ち」、「気分」を表すようになったもの。したがって、「小気味がいい」は「ちょっと気分がいい」ということ。「大気味がいい」つまり「とっても気分がいい」というような使い方をしないのは、しょせん他人のやっていることなので、そんなに大喜びするほど愉快ではないということであろう。もっとも、スポーツ選手などが無敵の活躍を見せると、自分も一緒になって興奮し、「痛快だね(すごく気持ちいい)」などと、別の言い方をする。「快」は自発的な感情を表すのに対して、「気味」はもともと受け身の感じ方を意味しているので、興奮してビールをかけあうほどの愉快さは表現できず、クールなのであろう。(CAS)