姑息

こそく

 姑息(こそく)とは、一時の間に合わせ、その場しのぎという意味で、「姑息な手段をとる」などと用いる。ところがほとんどの日本人は「姑息な手段」を「卑怯な手段」とか「ズルいやり方」という意味に誤解していて、話す方も聞く方も誤った認識で合致しているから、「姑息なヤツだね」「ほんとうに姑息なヤツだ」などと応答して、会話になんの齟齬も来さないという無法状態になっている。おそらく「こそく」という言葉の響きが、「こそこそ」とか「こせこせ」とか「小癪(憎らしい)」といった言葉の響きと似ているところから生まれた誤解ではないかと思われる。

 それでは「姑息」という漢字の成り立ちはどうかと辞書を調べると、たいがいの辞書に『「姑」は「しばらくの間」という意味、「息」は「休む」という意味なので、「姑息」で「一時の間に合わせ」という意味になる』と書かれているが、「しばらくの間」と「休む」でなんで「一時の間に合わせ」になるのかどうにも理解できない。また漢和辞典を見ると、「姑息」で本来の漢字どおり「女と子ども」の意味として使う場合もあったらしい。さらに現代中国語では「姑息」は、「その場しのぎ」という意味の他に、「甘やかして育てる」とか「寛大な措置をとる」といった意味もあるそうで(これもなんでそういう意味になるのかよくわからない「姑(しゅうとめ)」と「息(むすこ)」だから?)、こんなんだったら「姑息な手段」を「ズルいやり方」という意味で使ったってどこからもおとがめがこないだろうし、どうってことないじゃないかという気にもさせられる混乱ぶりである。(CAS)

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