乞食とは、主に路上で、人々のチャリティ精神を頼りに生活している人をいう。現代日本では、路上などで無償のほどこしを要求する行為は犯罪に当たるので、乞食業への転職をお考えの人は、金銭の引き替えとなるサービス、すなわち楽器のようなものを演奏するとか剣のようなものを飲み込むとかいう一芸を身につけることをお勧めしたい。
乞食は「食物を乞う(ほしがる)」という意味で、本来は「こつじき」と読み仏教の出家修行者のことをいった。出家僧が修行のために信者の家を回って施しを受け生活していたところからその名があるが、施す側から見れば、ほんとうに修行者だろうが、修行者を騙った詐欺師であろうが、修行者を騙らず堂々とものをもらいにやってくる人であろうが大差はないので、ものをもらいにやってくるすべての人をひっくるめて乞食というようになったのだと思われる。
なお「乞食」は、現代では差別用語と見なされるので、本稿のように万人の教養を高めるためにしかたなく用いる場合以外は、使用をひかえた方がよい。(CAS)