ご足労(御足労)とは、「足労」に丁寧語の「御」をつけた言葉。「足労(そくろう)」は足を働かせること、つまり、「歩くこと」「行くこと」という意味だが、「労働」の「労(働く、ほねをおる)」という漢字を使っているように、好きこのんで歩くわけではなく、「ほんとうは歩きたくないのにいやいや歩く」「わざわざ出向く」という意味あいを含んでいる。「足労」にはたいてい「御」をつけて「本日は遠いところをご足労いただきありがとうございます」などというが、それは、本当は当方から出向いていかなければならないのに「足労」させてしまった相手に対して、恐縮しながら用いるケースが多いからである。自分がわざわざ相手のところに出向いた場合は、どんなにいやいや行ったとしても、けっして「足労してまいりました」とはいわない。とはいえ、本当は喜んで来ているかもしれない相手に対して、「来たくもないのに来たのだろう」というようなことを言うのは、嫌みったらしい言い方だといえなくもない。(CAS)