カテゴリー:経済、ビジネス、職業
契約とは、破ると冗談ぬきで恐ろしい仕打ちが待っている約束。日本で約束を取り交わすさいに「指切りげんまん、ウソついたら針千本飲ます」という歌を歌うことがあるが、この約束がお互いの同意のうえでなりたつ契約として成立したなら、約束を破ったものは本当に針を千本飲まなければならない。当の日本人は約束を破ったからといって針千本飲ませる罰を下すことなど考えもしないが、にもかかわらずこのような歌があるということは、約束あるいは契約といった行為について、日本人がかなりユルくとらえているという実情がうかがえる。
契約が実行されたシーンとして最も有名なのは、旧約聖書において預言者モーセが、不平不満ばかり言っている民衆を助けるために、しかたなく神と取り交わした約束である。神様には冗談が通じないから、取り交わした契約を破ると、マジで厳しい罰が待っていることになる。またイタリアのヴェニスでは、契約の証文をたてに人間の肉を要求した強欲な商人がいたことを、シェークスピアは自身の戯曲の中で報告している。このケースでは、人情味のある裁判官の機転の利いた裁きにより、被告人は難を逃れている。(CAS)