下手物(ゲテモノ)とは、骨董や工芸の世界では、価値の高い上手物(じょうてもの)に対して、並みの品、安価な普及品をいうが、一般的には、伝統的な価値観に従わないもの、上品でないもの、風変わりなものをいう慣用語として用いられている。例えば、モダンアートは当初はゲテモノと見られていたが、下品でヘンテコなもの好きな収集家(近代に登場した資本家というヤツらである)が争ってそんな作品を買い求めたため、いまではいくら金を積んでも手に入らない上手物となっている。
骨董の世界でいう「下手物」は、「上手物」の対語として発生したような印象があるが、突然のことに気が動転することを意味する「怪顚・化転(けでん)」や、仏教の経典以外の書物を意味する「外典(げでん)」あたりから変化した言葉ではないかといわれている。だとすると、「ゲテモノ」は、一般的な「ヘンテコなもの」「普通じゃないもの」という理解のほうが正しいのかもしれない。(CAS)