君子豹変(君子は豹変す)とは、立派なリーダーは正義と知ればそれまでの態度をがらりと改め、日々善に変化していくものだという、中国の『易経』による格言。しかし現代では、ささいなことで突然怒り出して手がつけられない上司や、前言を撤回してしゃあしゃとしている政治家などを評する、マイナス評価の言葉として用いられている。それはどうやら「豹変」の意味が誤解されているからのようで、これはそれまでおとなしかった豹(ヒョウ)が突然子どもの頭にかぶりつくという意味ではなく、豹の毛が生え替わって身体の模様が美しく変化するという意味。また「君子(身分が高く人格の優れた人)」と呼ばれる人のはなはだしい質の低下も、「君子豹変」の意味の劣化に影響しているものと思われる。
なお、『易経』では「君子豹変」に「小人革面(小人は面を革む)」と続き、態度をがらがら変える君子に対して、その部下は「またかよ」と内心舌打ちしつつも表向きは喜んで君子に付き従う態度をとるという、組織のリアルな描写がなされている。(CAS)