カテゴリー:宗教、民間信仰、俗信
鬼門とは、鬼が出入りする門、つまり鬼のセールスマンや御用聞きがうるさくやってくる通用門という意味で、北東の方角をいう。鬼門は陰陽道の高度な学説にもとづき、日本では縁起の悪い方角とされ、そこから、不運や災難がつづく場所や状況を「この地区はおれにとって鬼門だ」などと言い表す。
鬼門は風水(陰陽道に基づいた空間設計マニュアル)に取りいれられて、住宅の設計においては、その方角に門、蔵、水回りの部屋(台所、便所、風呂)などを置くのをタブーとしている。陰陽道が盛んだったころ鬼門は、建物の設計ばかりか都市計画においても意識され、鬼の出入りを防ぐ「鬼門除け」として、その方角に霊験あらたかな寺社が建てるのを常としていた。
風水のさかんな中国では、「鬼門」という考え方はないといわれるから、陰陽師や風水士という人々がいかに地域住民のニーズをとりいれ、臨機応変に学説を作りかえているかがうかがえ、魅力のない商品でも地域密着型で営業すればどうにか生き残っていけるというよい手本を示している。(CAS)