カテゴリー:食文化、料理、食品、食材
牡蠣(カキ)とは、ほんの少し前までは「魚だの貝なんてものがナマで食えるか」というような態度であった西洋人(とくにフランス人)が、なぜかこれだけは「牡蠣はナマにかぎるぜ」と江戸っ子みたいなことを言って食べていたほとんど唯一の海産物。日本でも牡蠣はナマで食べるが、おそらく刺身類のおなじみの食べ方であるしょう油+わさびといまいち相性がよくないせいか、牡蠣フライ、土手なべ(味噌ベースの鍋物)、かきグラタンなど、火を入れたものが喜ばれ、これらがまたどれもこれもうまいと来ているから、「牡蠣なんてものがナマで食えるか」とフランス人みたいなことを言う日本人も多い。
「かき」という言葉は、岩から掻き取って採集するものであるからとか、硬い殻を掻き砕くことからなどという、誰でも考えつきそうな語源が『大言海』には記されている。(CAS)