上座(かみざ)とは、地位の高い人が座る座席のこと。
日本間では床の間の前が上座で、家に客を何人か迎えた場合、その中の親分クラスの人物を床の間の前の上座に座らせ、その横に一番の子分みたいな顔しているヤツを座らせ、順次下っ端をはべらせて、客を迎えた主人は上座と対称の位置にある下座(しもざ)に座る。めんどうなことに洋間でも上座があり、出入口からいちばん遠い部屋の奥が上座、出入口に近いところが下座になる。客を迎えた主人は出入口をひんぱんに出入りしたり、家の者や部下に指示したりして客のご機嫌を取らなければならないので、出入口付近が下座というのは理由がないでもなく、このルールはタクシーなどの座席にも応用される。
部屋や乗物など絶対的な空間の座標がない場合、ある人物の左側が「上座」に設定される。このルールは演劇の舞台などで、役者本人の左側、観客から見れば右側が「上手(かみて)」と呼ばれることなどにも見られる。
なぜ上手側(本人にとって左側)が上位となるのかは、心臓が左にあって重要だからとか、統治者が南に向かって統治するので日の昇る方向である東側すなわち統治者にとって左側が上位であるからなど諸説あるが、日本の「上座」のネタモトであった中国では、古くは自分にとって右側を上位としていた時代もあり、その時代のルールに従った考え方に「右に出る者がいない」「左遷」などがある。したがって「上座」についてどんな理屈をつけられても、「ただのパクリだもんなあ」とあまり信用する気にはなれない。(CAS)