鬼とは、古代中国から日本に出稼ぎにやってきた悪魔のこと。古代の日本人が恐れていた得体の知れない恐怖の対象の多くに、この鬼のイメージが仮託された。つまり、その職業は肉体派の役者。しかし、役者だけでは食っていけないらしく、地獄で看守や釜炊きのバイトをして糊口を凌いでいる。さらに、仕事や芸道に打ち込んでいる人を「仕事の鬼」「剣術の鬼」などとたとえるように、鬼はさすがに悪魔らしいところをみせ、人間の精神に侵入して、ひとつのことに熱中するあまり顔が恐ろしく変形し周囲の人々をおびえさせるほど、その人を「鬼化」している。
元来が外国人であるせいか、鬼の姿は好きなようにいじられている。裸体に虎皮のパンツという恥ずかしい格好をさせられたあげく、地獄では閻魔大王の命令のもと重労働を課せられ、寝るところを求めて家に入れば豆を投げつけられて追い払われ、孤島で平穏に暮らそうとすれば中途半端な動物を家来として引き連れた青二才に退治されるという、さんざんな被害にあっている。(CAS)