汚名を着せるとは、不名誉な評判や悪名を与えるという意味。その受身形が「汚名を着せられる」。この「汚名」は「きたない名前」という意味だが、授業中がまんできずに大便をもらしてしまった子どもが、その後一生涯「うんこ」などと呼ばれるようになるといったような正味きたない名前というよりは、社会的、道徳的に汚いという評価、悪名をいう。そこから「汚名を着せる」「汚名を着せられる」は、「裏切り者の汚名を着せる」「金権政治家の汚名を着せられる」などと、本人には自覚がないのに、他人から悪い評判を立てられ、悪名を与えられるというニュアンスで用いられる。確かに、本当の「裏切り者」は最後まで正体を現さないし、本物の「金権政治家」は悪い噂も金の力で封じ込めるだろうから、本人にあまり自覚のない中途半端な「裏切り者」や「金権政治家」こそが「汚名を着せられる」のである。(CAS)