オブジェ(objet)はフランス語。英語のobjectと同じで、見たり触れたりするこができる「物体」、または思考や行動の「対象」を意味するが、フランス語圏以外でこのフランス語があえて用いられる場合は、主にアートにおける立体作品のジャンルをいう。
アートの分野で「オブジェ」は、「彫刻(sculpture,etc)」と対照的に用いられる。彫刻が石や木などの素材に手を加えて人物や動物など「別のもの」のイメージを作り上げるのに対して、オブジェは素材そのものの美しさ、存在感、意味、用途などに注目する点が特徴。フランスのアーティスト、マルセル・デュシャンが市販の便器に「泉」と題して展示会に出品したとき、その作品は「レディメイド(市販品)」の「オブジェ」というジャンルに分類された。その後、この究極の手抜きの手法は、不器用な彫刻家やめんどくさがりのアーティストに愛され、さまざまな種類のオブジェ作品を生み出して(その大半が本来の素材そのもの、つまりガラクタにもどっているが)現代にいたっている。(CAS)