お辞儀とは、欧米のテレビディレクターが「モンゴロイドにおじぎをさせておけばそれは日本人である」と安易に考えている行為。とはいえ、われわれ日本人としても、その安易さを無碍に否定することはできないが……。
研究者によると、おじぎは相手に対して無防備な姿勢をとることで恭順の意を表す行為で、通常は下位の者が上位の者に対して行う。こうした意味合いにおいて、おじぎは西洋でも見られる行為で、紳士が淑女に対して「女性を尊敬しているふり」を表現するために行うし、舞台上で客に対しておじぎをするタレントも多い。その場合、おじぎをされた相手は、「自分はこの人より上位なのだ」ということを認識するだけでおじぎは返さない。
日本人は社会的な人間関係に常に上下をつけたがる傾向があり、特にビジネスの世界では相手を上位に置くことで関係を円滑に運びたいという心理が働く。日本のビジネスの現場では双方が同じことを考えているので、片方がおじぎをすると、相手は「わたしの方が下位である」ことを示すためにおじぎを返し、さらにまた……と、その連鎖がとまらなくなる。それが日本人のおじぎの特徴的なところともいえる。(CAS)
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