恵方巻きの「恵方(えほう)」とは、幸せの方角という意味で、陰陽道の緻密な学説に基づいて年ごとに定められているおめでたい方角をいう。恵方巻きとは、節分の日(2月3日)に食べると縁起がよいといわれる太巻きの寿司である。
恵方巻きは節分の夜、恵方に向かって海苔巻き寿司を丸ごと一本切らずに食べる。近年まで関西地方の一部で行われていたが、節分の行事として一般的である豆まきが、本気でやるにはあまりに気恥ずかしく、まいた豆を拾い集めるのもめんどうくさく、それを後から食べるのも不衛生で、煎った大豆もあまりうまくないことから、厄除けと同時においしい寿司までいただける恵方巻きの行事が盛んになりつつある。しかし、恵方巻きもルールのわけのわからなさ加減では豆まきに負けず劣らずで、寿司を一本食べる間は願い事を心の中でとなえ、言葉を発してはいけないなど、せっかくの寿司をもう少しおいしくいただけないものかという疑念が残り、豆まきの代用としていまでこそ注目されているが、爆発的な普及は難しいと予想される。(CAS)