この辞典の使い方>「う」で始まる言葉>牛に引かれて善光寺参りの意味
カテゴリー:ことわざ、故事成語、名言、名句
牛に引かれて善光寺参りとは、不純な動機からでも人は正しい道に導かれる場合があるということわざ。長野県の名刹善光寺の近くに住んでいた不信心な老女が、洗濯物をツノに引っかけて逃げた隣家の牛を追いかけて善光寺にたどりつき、結果として信仰に目覚めたという逸話にもとづく。近所の飼い牛が逃げ出して、街路をノラ牛のようにうろついているという状況は、現代日本から考えれば衝撃的だが、われわれはこの故事のそんなところに食いつくのではなく、欲深い動機や思いがけない偶然からでも仏の道につながって信仰を深めれば人は救われるという教訓を読み取らなければならない。要するに、信者になってくれるなら誰でもOK、何でもアリという宗教関係者のたくましい商売根性を言い表したことわざである。
ちなみに、このようなケースで逃げた盗っ人ウシは、「神の使い」とかなんとかいって祀り上げられるのが通例である。(CAS)