浮き名を流すとは、男女関係の噂が世の中に広まるという意味。「浮き名」はもとは「憂き名」つまり「いやな名前」「いやな噂」という意味で、ゴシップにより名前が知れ渡ってしまったためにつらい思いをしている状況を言い表していた。それが時代を経るとともに、「憂き世」が「浮き世」に変化したのと同様、「うきうきする」の「浮き名」に変わり、男女関係の噂が広まるのをまるで武勇伝のごとく誇っているおバカなヤツの軽薄な行動になりさがってしまった。とはいえ、その昔も、「つらい世の中である」などと嘆きながらも次々と恋愛相手を変えた人物がヒーローあつかいされていたのだから、「憂き名」が「浮き名」に変化する要素はすでにその時代にあったのだといえなくもない。(CAS)