因縁をつけるの「因縁(いんねん)」とは、仏教用語で原因、由来という意味。仏教では、すべての事象に因縁があり、世界はすべて因縁の理法によって生滅変化をつづけるとする。しかし、われわれ一般人が「因縁をつける」と用いる場合は、怖いお兄さんが「オレが今からおまえをなぐったり、蹴ったりしようとしているのは、おまえがさっき数秒間おれをふざけた顔で見つめていたからだ」と説明する行為、すなわち「言いがかりをつける」「いやがらせをする」という意味となる。
このように「因縁をつける」は、むちゃくちゃな理由で相手を脅す行為をいうが、仏教用語の「因縁」も、「この世で馬や牛になって人間にこきつかわれているのは、前世で悪行を犯した報いである」というようなむちゃくちゃな理由づけがおこなわれるのだから、考え方としてはわれわれ庶民も大きな間違いはしていないということができる。(CAS)