一張羅(いっちょうら)とは、催し物やパーティなどに必ず着ていく一枚しかない上等な晴着のこと。または、毎日のように着ている同じ外出着を皮肉っていう言葉。最近は、晴着を見せ合うような機会も減ったし、外出着が一着しかないようなヤツもなかなか見かけなくなったので、「一張羅」という言葉もやや死語化している。ただ、着替えは何着も持っているが、お気に入りの服を毎日のように着ているヤツ(着替えるのがめんどくさいだけというヤツもふくめて)もまれにいるので、そんな「毎日が晴着」みたいなヤツのためにこの言葉も保存しておくべきかと思われる。
語源は、一本しかなくて替えのきかない貴重なロウソクをいう「一挺蝋燭(いっちょうろうそく)」が訛った「一挺蝋(いっちょうら)」からとも、漢字の意味そのままの一枚の羅(うすぎぬ)からともいわれる。後者のほうが自然な語源のように感じられるが、「一挺蝋」という言葉もちゃんと古語辞典に載っているので、語源として採用してあげたい気もわからないではない。(CAS)