インスパイア(inspire)とは、息(spirare)を吸う(in)という意味のラテン語を原語とする言葉で、現代では、何かが体内に吹き込まれるという意味あいで用いられている。この「何か」は、人を元気づけたり、やる気にさせる……つまり栄養ドリンクのような視覚情報や言語情報をいう場合が多い。例えば、高校野球の選手がスタンドにガールフレンドが来ているのを見て、がぜんはりきりホームランを放つ、といったような一連のストーリーにおいて、ガールフレンドの姿がその選手の視界に飛び込んできた瞬間を、本人の立場から「インスパイアされた」と言うのである。
また、アートや音楽活動において「インスパイア」は、パクリのネタ元が耳元で「マネしてもいいよ」とささやくことで、本人は「霊感がおりてきた」と言い張る現象である。
なんらかの刺激により本人がやる気になるという意味の言葉に「インセンティブ(incentive)」があるが、こちらは人をやる気にさせるために人為的にエサを与えることやそのエサのことをいう。そのエサが人為的でなく、神様からさずけられたように感じられる場合は「インスパイア」になる。前出の野球選手の例で言えば、チームメイトが「あいつはバカだから○○ちゃんが応援してたらゼッタイ頑張るぞ」と示し合わせて彼女を連れてきたら、それは「インセンティブ」ということになるわけである。(CAS)
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