阿漕(あこぎ)は、伊勢国阿濃郡(現在の三重県津市)の東方の海岸「阿漕ヶ浦」のことだが、禁漁地であった阿漕ヶ浦で、ある漁師がたびたび密漁をして捕らえられたという伝説から、秘密裏に行っていた悪事や不倫などが、たび重なって表ざたになることという意味で和歌の題材として古くから用いられてきた。「しつこくくりかえされる悪事」という連想から、「貪欲であること」「しつこくずうずうしいさま」の意味で、いまでは主に「あこぎな商売」のような用いられ方をする。お年寄りをだまして金を搾り取る連中を「あこぎな商売しやがって」などと非難することがあるが、これは「商売」でもなんでもなくてただの「悪事」であるから、使い方には注意したい。「あこぎな商売」の使用はせいぜい、従業員をこきつかって利益をあげるブラック企業くらいにとどめておきたいものである。(CAS)