後味が悪い(後味の悪い)の「後味(あとあじ)」は、ものを飲み食いした後に口に残る味のこと。そこから、ものごとが終わった後の気分をいう慣用句としても用いられる。しかしこの「後味」、「化学調味料が入った料理は後味が悪いね」「犯人の自殺で終わるという後味のよくない事件だった」と主に「悪い」「よくない」と否定的に用いられ、食べているときはうまいと思っても口に不快な味が残るとか、ものごとにいちおう決着はついたけれどもすっきりしない気分が残りすなおに喜べない、といった感覚を表すことになる。なぜ「後味がいい」とあまり言わないのかというと、例えば、出された料理を食べた後「後味のいい料理ですねえ」と誉めたつもりでも、料理人にしてみれば「後味はよくても、食べたときの味はたいしたことないのかよ」と、まさに後味の悪いほめ方になってしまうからであろう。こういう場合、頭のよい皆さんは(料理がマジでまずかったと思っても)、「いやあ、後をひく味ですねえ」などと言ってあげれば、頭の悪い料理人は舞い上がることうけあいである。(CAS)