アンカーとは、陸上や水泳などのリレー種目の競技中、「勝っていても負けていてもどっちでもいいから、大差がついた状態でつないでくれ」と願っているほんの数人の人々。つまり、最終競技者のことである。
英語のアンカー(anchor)の一般的な意味は、船などの錨(いかり)。angle(角度)やankle(足首)と同様、角度がついているもの、曲がっているものという意味の語根ank-、ang-を持つ言葉であり、一般的な錨の形がフック状に曲がっているところからきている。
20世紀初頭、綱引きの団体戦の競技で、最後尾にあって錨のような役割を果たしている競技者をanchormanと呼ぶようになり、さらにそこから、リレー競技において勝負を決定づける最終走者に用いられるようになったのだという。
また最近では、報道番組の司会者をアンカーと呼ぶようになっている。これは、ある報道番組でカメラを正面に見ず、角度をつけて座ってしゃべる、カメラアングルを気にする女性司会者がいたから……というわけではなく、1960年代ころからアメリカの報道番組のホストがそう呼ばれるようになったからで、日本でもいつまでも「司会者」じゃ様にならないだろうというわけで、アンカーという名前を借用したものである。(CAS)