アイドルとは、偶像という意味で、神仏をかたどった彫像のことをいうが、一般的にはあこがれや崇拝の対象となる人物の例えとして用いられる。日本では主に、崇拝者(ファン)を従えた若い芸能人のことをいい、歌手、テレビタレント、モデルなどを職業としている場合が多い。歌手、タレント、モデルであるからには、歌がうまかったり、話術に長けていたり、スタイルが抜群であったりする必要があるかと思われるが、日本ではむしろそれらの特長より、「ちょっとかわいい同級生」的な親しみやすさが重視される傾向があり、へんに歌がうまかったりするとアイドルと呼ばれなくなったりする。したがって、アイドルは本来「神仏の仮の姿」という意味であるが、日本では「友だちの仮の姿」とでもいうべきものである。
アイドルが年をとると、人気の持続いかんにかかわらず「元アイドル」と呼び名が変わる。ファンの方は、アイドルの高齢化とともに多くが脱落し、その脱落した人々のことを「元ファン」という。高齢化したアイドルをしぶとく崇拝している人々は「ファン」でありつづけ、ここにアイドルとファンとの乖離が生じる。(CAS)